第1回「はじめまして」
こんにちは。福満景子です。このページを開いて頂いて、ありがとうございます。毎月、ホッと和むようなエッセーを綴っていきたいと思います。一人の人間として、女性として、妻として、母として、フリーアナウンサーとしての様々な思いや、出会った著名人との対談エッセーなどを交えて書いていきます。皆さま、これから、どうぞよろしくお願いいたします。
普段はのんびり穏やかですが、仕事でスイッチが入るとまっすぐ突き進んでいきます。「干支は亥(いのしし)、星座は獅子(しし)座」と言えば、やわらかさの中に潜む猪突猛進さが、ひょっとしたら伝わるでしょうか。自分でも、時々、「突っ走りそう!もう止まらない!」と思ってしまいます。
そんな私の転機は22歳、今から18年前。NHK鹿児島放送局でキャスターに採用され、伝える仕事をスタートさせたことです。夕方のメインニュースや情報番組、防災特番、旅番組などの番組を担当して、その後もフリーで司会やリポーターを経験し、伝える仕事の面白さ、魅力にはまりました。結婚後は3児の母となり、およそ10年、専業主婦として日々を満喫しました。時々は司会やリポーターを務めましたが、妻や母として家事と育児に精魂を傾けた10年。家族の幸せが第一と思える充実した貴重な期間です。
次の転機が、3番目の子供が2歳、私自身は38歳の時です。夫の叱咤激励がきっかけで社会復帰しました。夫の言葉を聞いて、それまでの家庭が全てという生き方を見つめ直し、再就職を決意しました。そこからは急展開で所属事務所が決まり、 再び社会とつながって、家庭と仕事を両立させながら走っています。
昨年、2011年3月11日の東日本大震災で、世の中は一変。人生80年とすれば、私はちょうど折り返し地点の手前でした。家族や周囲に支えられていることを改めて実感し、支え合う絆の大切さを再確認しました。テレビに映し出される大惨事を前に、一瞬で何もかもを失う恐怖と諦めが、ゼロベースで生きることにつながった感じです。震災をきっかけに、夢や自己実現を追い求めていた私が「人の役に立つ生き方や、悔いのない人生」に目を向けるようになりました。恐らく、皆さんと同じで「何かできることはないか」と 模索し、たびたび、寄付や被災地の特産品購入をしてきました。
そして、最近ふと、気付いたのです。人と関わり、話を聴いて、それを自分なりに発信していこう。紙とペンさえあれば取材できるし、今なら携帯電話で広く情報発信できる。それこそが、今、私にできることじゃないかと。人と社会とつながること、伝えること、書くこと。ささやかでも、爽やかな思い、温かな思いを発信していこうと、このエッセーに結び付きました。きっと、直接的な支援ができなくても、誰もが様々な分野で頑張れば、被災地を含め日本全体を元気にしていけるのではないかと思っています。
まもなく始まるロンドンオリンピック。各国から選ばれた選手たちの世界大会が幕を開けます。彼らの驚異的な身体能力や、精神的強さを目の当たりにすると、ただそれだけで、一瞬で涙がこぼれるほど感動して、勇気をもらえます。そして、よし!頑張ろうと力がみなぎってきます。ただ黙って寄り添うことも大事ですが、何かを発信することも大事なんですよね。
男性も女性も年齢を重ねると、若さや美貌は失われますが、人間的な魅力は増してきます。そう信じて、多くの人と関わり、経験を積んで、気持ちだけはフレッシュなまま、ホッと和むようなエッセーを書いていきたいと思います。どうぞ、楽しみにしていてください。
(2012.7.23掲載)